横田小児科医院

院内報

こあら通信 第73号 2004 May

目次

・アドボカシー
・ホームケア-
・ヨコピーのQ急箱
・おすすめの絵本
・お知らせ

アドボカシー

新しい制服でクリニックを訪れる子どもたちが何ともかわいらしい季節になりました。

 「アドボカシー」という言葉を知っている方は少ないと思いますが、今回はこの言葉を取り上げてみます。アドボカシーには代弁者という意味があり、「ある考えや政策を、自分のためにうまく言い出せない人たちのために、別の人が声を大にして外部に訴える行為」と説明されています。わかりやすく言うと、「子どものように弱く発言力がない人たちに代って、一肌ぬいで仕事をする」ということです。ボランティアと似ているようですが、単に奉仕をするだけではなく、その人に代わって訴える、という所が違います。

 最近話題になっている回転ドアの事故については、その原因が子どもの不注意でも、親の不注意でもないことが、しだいに明らかになってきました。回転ドアそのものの発想や構造に原因があったのです。このことは子どもには訴えることができません。誰かが訴えないかぎり、事故が起こっても子どもや親の不注意として片づけられ、次の犠牲者が生まれてしまうのです。回転ドアの問題を訴える行為こそがアドボカシーなのです。

 子どもに関するアドボカシーは小児科医の大切な仕事です。なぜなら子どものことを最もよく知っている職業だからです。子育ての相談に乗ってあげるというような身近なことから、子どもをタバコの煙から守る、有害なテレビ番組から守るというような社会的な行動まで、仕事は山ほどあります。米国ではアドボ力シーは小児科医の大切な仕事の一つと考えられていて、若い小児科医にも積極的に教育されています。私が活動している日本外来小児科学会でも数年前に委員会ができ、活動が広まってきました。

 アドボカシーは無報酬で自発的に行うものですが、その行動を通して達成感や自己の存在感を昧わえます。自己犠牲に上に成り立っているようで、結局は自分にプラスになって返ってくるように感じます。これからも皆さんと一緒にアドボカシーを考えていこうと思っています。

タバコの影響

《タバコが及ぼす影響》

 タバコは、喫煙者だけでなく受動喫煙者(自分でタバコを吸わないが、その煙りを吸わされている人)にも有害です。そして、タバコの点火部分から立ちのぼる煙の方が、喫煙者の吸う煙よりも発ガン性物質や有害物質を多く含んでいます。それは受動喫煙者が子どもであっても例外ではありません。具体的な影響は、のどや目がピリピリする、せきを誘発するなど、煙を吸うことですぐに反応する急性の症状と、慢性気管支炎や癌・狭心症など長期間にわたって体に重大な影響を及ぼす症状に大きくわけられます。

《煙を吸うとおこりやすい病気》

 咳や痰などの呼吸器症状が現れやすくなり、治りにくい傾向があります。例えば、カゼを引いている子どもの咳や痰をよりひどくさせたり、赤ちゃんではゼ-ゼ-する気管支炎を引きおこしたりします。また、気管支喘息の子どもでは、煙の刺激が発作を誘発することがあります。
 タバコの影響は子どもの時だけでなく、大人になって受け続け、煙を吸う期間が長ければ長いほど、深刻な副作用(成人病の肺がん・中年になっての慢性気管支炎・肺気腫・狭心症の原因)が出現します。

《気をつけること》

 タバコの煙を避ける方法は、言うまでもなく家族の人が禁煙することですが、それが不可能であれば、子どものいる部屋では喫煙せず、換気を心掛けましょう。空気清浄器は煙の除去に時間がかかるので過信はできません。
 咳や痰などの症状が長く続く時にはレントゲンなど検査を受けましょう。そして大人になったなら、肺がん定期健診などを受けた方がよいでしょう。

ヨコピーのQ急箱

Q. トイレットトレーニング(おしっこ)が完了していない3歳の息子。このまま様子を見てよいでしょうか?

A. 早くおむつをとりたいと言う気持ちから、子どもをせかしたり、怒ったりすると、かえってトイレ嫌いになってしまうよ。また、お母さんが妊娠したり、弟や妹がうまれたりして寂しい思いをしたために、逆戻りしてしまうこともよくあるんだ。「かまってほしいよ」という心の表れだから、おしっこのことを心配するよりも、子どもとよく遊んであげてほしいな。トイレットトレーニングは、心も身も発達していないとなかなか完了しないもの。たから、うーんと個人差があるんだ。ほとんどの子どもは自然におむつがとれるから、あせらないでね。うまくいったらほめてあげることがポイントだよ。めったにないけど、膀胱炎(排尿時痛や瀕尿)や膀胱の機能に異常があったり、親子関係の問題や子どもに軽い知的障害があったりすると、うまくいかないこともあるよ。気掛かりなことがあれば、いつでも相談してね。

おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
『たんじょうび』

福音館書店

ハンス・フィッシャー ぶん・え

おおつか ゆうぞう やく

 まず、表紙をめくると何とも可愛らしい子猫がいっぱい。何か楽しい事が待っている予感がします。森のそばの野原の一軒家に住んでいるリゼッテおばあちゃんの誕生日を、いっしょに住んでいる動物達がお祝いするおはなし。いろいろに趣向を凝らしなんて素敵なこと!美しい絵も大変魅力的です。そして最後には思いがけないプレゼントも飛び出して、最初から最後までワクワク楽しめます。続編の『こねこのぴっち』もいっしょにどうぞ。

お知らせ

1. 新しいスタッフのご紹介
  看護師の平山さんと小長谷さんが加わりました。他のスタッフと同様よろしくお願いします。 
2. カウンセリング外来が月2回になります
  浅井先生のカウンセリング外来が原則月曜日月2回となります。5月は8日(月)と22日(月)に行います。予約をご希望の方は受付まで。

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