院内報
こあら通信 第302号 June 2023
目次
子どもの免疫力
子どもの免疫力
新学期が始まり2ヶ月が経ちました。進学、進級した子ども達は新しい環境に少しずつ慣れてきた頃でしょうか。 この春に入園したばかりのお子さんは、入園後からいまだに鼻水や咳がずっと続いていたり、発熱を繰り返していたり…で心配するお父さんお母さんも多いのではないかと思います。私も息子を保育園に入れてすぐの時には頻繁にお迎えの連絡がきて仕事を早退することが多かったことを思い出します。 赤ちゃんはお母さんのお腹にいる時に胎盤や母乳を通して免疫をもらって産まれてきますが、産まれた後は段々と減ってきて、その後は自分で免疫力を高めていくようになります。ちょうど保育園に預ける始める生後6ヶ月から1歳半頃は特に免疫力が弱く、6歳くらいになるとおとなの免疫力に近づいてきます。 重い病気にならないためにワクチンがありますが、風邪を予防するためのワクチンはありません。感染することで自分で免疫を作っていき、だいたい半年から1年くらい経つと繰り返す感染症状も徐々に落ち着いてくるはずです。 咳や鼻水が出ていると、受診や登園・登校の目安についてよく聞かれます。いずれもお子さんの体調と感染リスクで判断します。明らかに発熱がある時、体調がすぐれない時はお休みをさせて、心配する症状がある時、病状が悪化している場合には受診することをお勧めします。周囲で流行しやすい感染症が流行っている時には周囲へうつすものかどうか病気の原因を知るために受診が必要な時もあります。ただ、風邪の大部分は特効薬がなく、自分の免疫で治っていくことがほとんどです。病気にかかってすぐは他の人にうつしやすいことが多いですが、いつになったらうつらないかは厳密に言うことは不可能です。 病気から回復傾向、または元気があって日常生活を送ることができているようであれば登園や登校は問題ないでしょう。 コロナ禍を経験して、感染症に対して不安が強くなっている子どもやご家庭が多いように感じます。外出先ではまだマスクの着用やアルコール消毒の習慣が抜けないのも気になります。 子ども達がのびのび健やかに過ごせる環境に戻していけるように、私達医療従事者も含め、大人の意識を変えていく必要があると感じています。