横田小児科医院

院内報

こあら通信 第223号 November 2016

目次

・マイコプラズマ感染症
・咳のケア
・新しい先生が加わりました
・待合室インフォメーション
・お知らせ

マイコプラズマ感染症

秋も深まってきました。いつもは患者さんの減る夏の終わりから今年は病気が流行し始め、手足口病、RSウイルス感染症、マイコプラズマ感染症などで受診する子が跡を絶ちません。特にマイコプラズマ肺炎を心配して受診する方が増えていますが、皆さんはこの病気の本体をよく知っているでしょうか。今回は、マイコプラズマについて少し勉強してみようと思います。

マイコプラズマは細菌の一種ですが非常に小さく、細胞壁を持たないという特徴があり、細胞壁を標的とした抗生物質が効きません。感染症の教科書として最も有名な「レッドブック」には、「最もよくみられる臨床症状は急性気管支炎と上気道感染症である。およそ10%の患者では肺炎になる。全世界のあらゆる季節、地域で発生し、集団流行は4〜7年ごとに起きる。家族内発生は数か月にわたって続く。感染後に無症候性保菌状態が数週間から数か月にわたって持続することがある。感染後の免疫は、長期間は持続しない。」と書かれています。要するに、マイコプラズマに感染した人の症状は、大部分はふつうの風邪と同じです。また、「急性気管支炎と上気道感染症は通常軽症で自然治癒傾向がある。これらの疾患に対して検査や抗菌薬療法が必要であるという証拠は乏しい。」とも書かれています。風邪症状だけのときに検査や治療は不要だということです。

マイコプラズマの診断や治療は、肺炎や長期間の発熱などのときに意味があるのであって、それ以外のときには必要がないと考えてよいのです。また、いつまで他の人にうつるかという心配も、症状がないのに感染が続いている人がいることを考えれば、あまり意味のない心配ということになります。まずは敵をよく知り、それをもとに考え、行動することが大切ですね。

咳のケア

10月に入ってから、マイコプラズマ感染症、RSウイルス感染症など咳の長引く風邪が流行ってきています。咳は気管にたまった分泌液や異物を除いて、呼吸機能を正常に保つための防御反応です。子どもの咳の原因は気管や気管支の問題だけでなく、鼻水がのどにまわって刺激になっていることも多いです。その為、外来で出される薬は咳を止めるものではなく、痰を出しやすくする薬などが主に処方されます。薬を飲むだけではなく、おうちでのケアも重要です。
咳で眠れない、食べられない、咳き込んで吐くなど、日常生活に困る事がある時は受診しましょう。

おうちでのケア

-乾燥は痰を出しにくくしてしまいます。水分をこまめに与える、加湿器の使用、マスクの着用、熱がなければ入浴も効果的です。

-食事は、咳き込んで吐いてしまうこともあるので、少ない量を数回に分けて食べ、食欲がない時は無理強いしないようにしましょう。

-咳が出て眠れないときは、縦抱きやクッションなどで上体を斜め45度くらいに起こして寝かせると呼吸が楽になります。

-タッピングをしてみましょう。下から上へ背中をさする、トントン軽くたたくことで痰をだしやすくします。

新しい先生が加わりました

アレルギー外来(毎月第2土曜日)担当の安藤智暁先生の紹介です。

 7月から土曜日のアレルギー外来を担当させて頂いております、安藤です。横田先生は私の大学の大先輩で、このたびご縁があって外来を担当させていただくことになりました。小田原には、豊かな水と、森と、歴史のある街があって、私の生まれ育った故郷の三重を思い出します。小さい頃、花や山野草が好きだった私は、幼稚園のころには植物園の園長さんになりたいと思っていました。それが自然科学に興味を持つきっかけでしたが、いつの間にか、誰かの役に立ちながら、新しいことを研究したい、と思うようになりました。

そんな私が小児アレルギー科医になったのは、私自身が、小さい頃からアトピー性皮膚炎や花粉症、喘息様気管支炎で小児科などのお世話になっていたことと無縁ではありません。最近では2歳から始まるような花粉症も出てきましたが、当時小学校3年生で花粉症になっていたのは割と時代の最先端を走るアレルギー患者だったのではないかと思います。昔から、かゆみや、鼻水、くしゃみや咳には、ずいぶん悩まされましたが、今となってはその経験が、私の仕事を支えてくれています。

その頃に比べれば、現在ではずいぶん治療も進歩し、情報も多くなりました。しかし、まだまだ全てのアレルギーが治るわけではありません。いま可能な治療法のなかで、最適な治療やケアを皆様にお届けすること。そして、次の世代に向けた治療を研究すること。この二つが私のライフワークですが、横田小児科医院では主に前者の形で皆様のお役に立ちたいと考えております。アレルギーのことでお悩みの方は、ぜひご相談ください。

<安藤先生略歴>
1976年 三重県生まれ。

2002年 東京大学医学部を卒業し、東大病院小児科に入局。その後、東大病院、関連病院、神奈川県立こども医療センター感染免疫科などで小児科診療に従事。

2008年 米国La Jolla Institute for Allergy & Immunology留学

2013年 帰国後理化学研究所(横浜)でアレルギーの研究を続けながら、東大病院小児科アレルギー外来を担当

2016年 順天堂大学 大学院医学研究科 アトピー疾患研究センター 助教に就任。東大病院小児科のアレルギー外来も継続中

小児科専門医(日本小児科学会)
アレルギー専門医(日本アレルギー学会)

待合室インフォメーション

今月の絵の作者は佐藤凪沙(さとうなぎさ)さんです。

凪沙さんの創作の始まりはいつも、パレットに様々な絵の具をたっぷり出します。絵の具をチューブから出すときの心地よさが、その表情から伺えます。出来上がる作品は大胆で迷いがなくダイナミックで、彼女の内なる力が溢れています。マスキングテープをひたすら使った作品には定評があり、その発想は誰にも真似できません。

お知らせ

「MRワクチン」「日本脳炎ワクチン」Web予約停止のお知らせ

10月中旬から製造メーカーの都合により、MRワクチンと日本脳炎ワクチンの入荷が止まっています。現在は院内の在庫分で対応し、MR1期と日本脳炎1期2回目接種の方を優先に窓口・電話のみで予約をお取りしています。ワクチンが確保でき次第、院内報やホームページでお知らせしWeb予約を再開しますので今しばらくお待ちください。なお年齢制限等で不安のあるお子さまは受付までご相談ください。

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お問い合わせ先

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