横田小児科医院

院内報

こあら通信 第172号 August 2012

目次

・准看護師制度
・発達相談室からの風景Q&A編No.15「吃音(きつおん)」
・ヨコピーの子ども講座-「卒乳」
・お知らせ
・編集後記

准看護師制度

 夏休みに入ってまた暑い日が戻ってきました。8月末には会長を務める日本外来小児科学会の年次集会がいよいよ横浜で開催されます。スタッフ一同準備に余念がありません。

 そんな中、神奈川県における准看護師養成中止と准看護師養成学校への補助金廃止の方針に、医師会は戸惑っています。それは小田原医師会が准看護師を要請する学校を1966年から運営しているからです。

 皆さんは看護師と准看護師の違いをご存知でしょうか。准看護師制度は戦後の看護師不足の中で、1951年に導入されました。看護師は厚生労働大臣が免許を与える国家資格なのに対し、准看護師は都道府県知事が免許を与える資格です。准看護師は医師や看護師の指示を受けて業務を行わなくてはなりませんが、基本的に看護師と業務の範囲は同じです。

 医療が高度な専門知識を必要とするようになってきたため、准看護師制度をなくして看護師に一本化しようという動きもあるのですが、現実にはなかなか進展がありません。

 准看護師は日本が貧しかった時代に、中学を卒業し病院に勤めながら学校に通い、病院にお礼奉公をするというスタイルで始まりました。しかし、裕福になった現在、中卒で学校に入る人はほとんどなく、ほとんどが一度社会人になった後に資格を手に入れようとする人たちです。平均年齢も30歳を超えています。

 また、安い給料で働かせるために医師会がこの制度を守ろうとしていると言われますが、看護師との給与の差は10%程度でしかありません。

 もう一つ大きな問題は、看護師が大きな病院に集中しているのに対し、准看護師は中小の療養型の病院や介護施設で役割を果たしていることです。看護師だけを養成するようになると、卒業生は給料の良い大都市の大きな病院に移動し、末端の地域医療や老人介護などに必要な人材が不足してくる可能性があります。看護師の数を大幅に増やすか、新たな職種を作らないとこの問題は解決しないように感じます。

 看護能力の高い人材を養成することに反対はしませんが、現状をよく分析し、私たちが暮らすこの地域の医療が今後どうあるべきかも考えて、進むべき問題だと思うのです。

発達相談室からの風景No.15「吃音(きつおん)」

Q. 子どもが話すときに、どもります。治療法や対応法はありますか。

A.どもること、吃音には、「ぼ、ぼ、ぼく」といった「連発」の他、「さーかな」といった「伸発」、音がつまってなかなか出ない「…あひる」といった「難発」などがあります。いずれにせよ、話そうとしているのにスムーズに話せていない様子を見ると、苦しそうに見えて周囲の大人の方が心を痛めますよね。

 吃音の原因は、はっきりとはわかっていません。左利きを矯正したからとか、引っ越しなどの心理的ストレスがあったからとか、親の育て方が厳しかったから等、いろいろと言われていた時代がありましたが、今はどれも否定されています。

 3歳くらいから吃音が見られ始める子どもが多く、男女比では男の子に多いことがわかっています。吃音が目立つ時期と、それほど目立たない時期が繰り返されることもあり、小学校に入る頃までに自然に消失する子どももいます。

 小学校に入学してからも吃音がみられる場合、だんだんと自分の話し方に意識が向き、どうやら人と違うらしいとか、人からあまりよい評価がされないものらしいということを感じるようになります。その結果、人前で話すことを嫌がったり、活動に消極的になったりすることがあります。自分でも何故こういう話し方になるかわからない不安を抱えたまま、とにかく吃音を隠そうとするのです。

 こういう気持ちになった子どもを、ひとりで悩ませることは避けなくてはなりません。治療や指導が受けられる相談機関としては、言語聴覚士がいる病院、または各市町村に設置されている「ことばの教室」があります。ただ、治療や指導の内容は、機関によって異なるようです。というのも、吃音を「治す」ということをどう考えるか、によるからです。

 吃音をなくすことが治ること、と考えられがちですが、子どもたちが一番つらいことは、吃音そのものよりも、どもりながら話すのを否定されること、ひいては吃音をもっている自分を否定されることなのです。したがって、吃音があってもありのままの自分を受けいれられるようになり、自信をもって日々の活動に向かえるようにするなど、気持ちのケアを中心に考える機関もあります。

 周囲の大人に自分を受けいれられていると感じることで、子どもはありのままの自分を受けいれられるようになります。幼少期は、話し方がスムーズでなくても「話しづらいんだね、わかっているよ」「大丈夫だよ、言いたいことは伝わっているよ」と安心させてあげてください。小学校以降では、吃音だけに注目せずに、発表を頑張れたとか、役割を果たせたことを認めつつ、吃音についてオープンに話せる雰囲気をもってあげて欲しいと思います。

 その際、有名人のことを話題にするのはどうでしょう。フリーアナウンサーの小倉智昭さんや、俳優のブルースウィルスさんも吃音に悩んでいたそうです。とくにブルースウィルスさんは、演技をするときだけ吃音が見られなかったため、俳優になると決心したと言われています。吃音があっても活躍する人たちを知ることで、子どもたちも自分の未来のイメージを描けるのではないでしょうか。

 最後に、廣嶌忍・堀彰人著『子どもがどもっていると感じたら 吃音の正しい理解と家族支援のために』(大月書店)をご紹介します。この本の中に、吃音の当事者で、現在は教師として活躍されている板倉さんの手記がありますが、私たちに「人から受けいれられることの大切さ」を気づかせてくれ、特にお薦めです。

ヨコピーの子ども講座-「卒乳」

 1歳近くになると、おっぱいはいつごろやめたらよいかとよく聞かれます。

 一般的には、1歳ごろといわれてきましたが、最近は、1歳過ぎても母乳を無理してやめることはないという考え方です。自然に母乳を卒業するまで飲ませてあげてもかまわないのです。

 赤ちゃんは自立に向けてさまざまな体験をしながら、未知の世界へと踏み出していきます。その過程には怖いこと、つらいこと、勇気のいること、不安なことなど、いろいろな初めての体験をします。そのときの赤ちゃんの心を慰め、励まし、安定させてくれるのがお母さんの胸であり、おっぱいなのです。赤ちゃんは、絶対的な安全基地があれば、安心して冒険心を満足させ、未知の世界を体験し、やがて自立への道を歩んで行けるのです。母乳の栄養学的な意義は少なくなりますが、赤ちゃんにとっては安定剤となるのです。子どもがスムーズに自立していくためには、それまでにお母さんとの心の絆をしっかりはぐくむことが必要なのです。

 また、2歳を過ぎても母乳を飲みたがるのはお腹がすいているからではなく、お母さんとのふれあいがほしいのです。しっかり抱っこしてあげて下さい。

お知らせ

1. お盆の間も診察します

今年は学会準備の為、8月の長期休診はありません。代わりに、9月に1週間休診とさせていただきます。

8月/9月の休診

8月24日(金)?27日(月)午前まで※午後より診察

9月16日(日)?23日(日)まで
 
2. インフルエンザワクチンの予約開始日について

9月よりワクチンの予約が始まります。詳細については来月号でお知らせいたします。窓口での対応が混雑いたしますので、できるだけインターネットでの予約にご協力をお願いいたします。
インターネット先行予約:8月31日(金)19:00より
      受付・電話予約:9月4日(火)より

3. 不活化ポリオワクチンについて

9月から接種開始予定ですが、現在のところ(7月末)まだ詳細についてわかっていません。わかり次第、HP等でお知らせいたします。

編集後記

早朝、窓からラジオ体操をしている子ども達の姿が見えます。懐かしいですね。しかしこの暑さ、私達が子どもの頃は、こんなに暑くありませんでした。熱中症にならないよう、十分気をつけて過ごしてください。先月号で予告した不活化ポリオワクチンの情報が遅れています。心待ちにしている方もいらっしゃるかと思いますが、もう少々お待ち下さい。息子が寝ると、ほっとしてため息がでます。相方はそれを見て、「は?っ」より「やったー!」の方がいいじゃないかと言いました。「アツサニモマケズ、ムスコニモマケズ、ソウイウモノニ、ワタシハナリタイ。」

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