横田小児科医院

院内報

こあら通信 第171号 July 2012

目次

・被災地訪問
・発達相談室からの風景Q&A編No.14「就学相談とは」
・ヨコピーの子ども講座-「おっぱいについて」
・お知らせ
・編集後記

被災地訪問

東日本大震災から1年3ヶ月以上が過ぎましたが、6月末に機会があり、日本小児科学会、日本小児科医会の会長と有志(総勢7名)で東北地方気仙地区の視察に参加してきました。被災地のことはずっと気になっていたのですが、今まで訪ねることができませんでした。

 気仙地区というのは岩手県の南部の海沿いの地域で、大船渡市と陸前高田市を中心としています。岩手県の中でも雪が少なく暖かい地域で、風光明媚な所として知られています。今回は好天に恵まれ、きれいな山と海に囲まれた素敵な地方だということを実感しました。

 山あいの道から陸前高田へ出るあたりから津波の影響は見えてきました。こんな内陸まで…と思う所から家が無くなり、道路わきにはプレハブの土産物店が並び始めます。町中のがれきはきれいに整理され、草の生えた空き地が広がっていて、壊れた大きな建物が所々に残っています。あれが元の市役所、あれが高田病院、と説明を受けながら車は進みましたが、海沿いのあったという松林はまったくなくなり、一本だけ残り有名になった「希望の松」を遠くから望むことができました。

 隣の大船渡市も現地で開業されている小児科の先生に案内していただきましたが、状況は似ています。津波による災害は1軒隣でまったく違うということもよくわかりました。

 復興はまだまだ進んでいません。問題の一つは交通の便が悪いことです。岩手県の幹線に位置する一ノ関から車で1時間半はかかりました。雪の降る冬はもっと長い時間を要します。そのためもあって小児科医は少なく、患者さんも簡単には移動できないため、現地の先生がたの負担は相当です。盛岡などの小児科医が乳幼児健診や学校検診などの手伝いに毎週来てくれているそうですが、往復の時間のほうが長くかかるということでした。

 学会や医会では、ロタウイルスワクチン無料接種事業や子どもの心の問題への対応に協力をしています。より多くの支援が必要なことは言うまでもありませんが、このような過疎地域の子どもたちの健康を、どのようにして守るかということを考えさせられた視察でした。

発達相談室からの風景No.14「就学相談とは」

Q. 「就学相談」って何ですか?

A. 幼稚園、保育園の年長クラスの掲示板に、教育委員会からのお知らせが掲示してある頃ですね。他市町の園に在園している場合には、広報や郵送でのお知らせがあるかもしれません。

「就学相談」とは、来年度、小学校に入学するお子さんの保護者の方を対象に、入学にあたって何か心配なことがあれば、事前に教育委員会に相談ができる制度です。

まずは、教育委員会に連絡し、相談内容を伝えます。その内容によって、必要があると判断された場合には、園での様子を見に来られたり、保護者との面談を設定したり、心理相談員が発達検査を実施したりして、その子どもがどんな支援を必要とする子か、情報を集めます。保護者の方も事前に、実際の1年生の様子や、支援の様子を見学したり、学校の話を聞くことができます。

その後、教育委員会の中で、教育・医療・福祉関係者などの有識者を集めた「就学指導委員会」という会議が開かれ、その子どもにとってどのような支援が必要か、話し合われます。話し合いの結果は保護者に伝えられますが、最終的にどんな支援を受けるかという判断は、保護者がすることになります。

少し前までは、障害を持って生まれたお子さんとその保護者が、皆と同じ普通級でもやっていけるかどうか、支援級でその子のペースに合わせて丁寧な関わりを持ってもらった方がいいのか、支援学校(養護学校)などでの、医療的なケアを含む、より手厚い環境を用意してあげた方がいいのか、相談するケースが主でした。ですが最近は、発達障害など、知的には賢くても、集団行動が難しく、騒がしい所では落ち着いて取り組みができない子どもたちのへの理解が進み、彼らにどんな環境を用意したらいいか、という相談が、非常に増えてきました。

普通級、支援級、もしくは「コミュニケーションの教室」や「ことばの教室」などの通級指導教室の利用など、いくつか選択肢はあるものの、その子どもの特性に加え、居住地の学校で実際にできること、普通級や支援級のクラスの人数やメンバー、担任となる先生との相性など、様々な要素がからんできますので、一概に「これがいい」とは言えません。普通級+通級でがんばっている子どももいますし、低学年のうちに支援級で丁寧な支援を受けておいて、中・高学年から普通級に戻って大変スムーズにいく子もいれば、低学年のうちは普通級で友達との関係を作り、学習がつらくなってきたら必要な指導を受けるために支援級を利用する子どももいます。一昔前と比べて、普通級と支援級との間の交流は盛んなことが多く、一応、支援級に在籍しているけれど、一日のほとんどを交流先の普通級で過ごしている子どももいます。

いずれにしても、はじめての小学校はどの子にとってもドキドキの体験。入学後のスムーズな生活を保障するために、些細なことであっても何か心配があれば、一度、お住まいの地域の教育委員会にご相談してみる事をお勧めします。

ヨコピーの子ども講座-「おっぱいについて」

 母乳は赤ちゃんにとって最高の食事です。病気を防ぎ、赤ちゃんとお母さんの絆を強くします。また、病原体から体を守る免疫物質が多く含まれ、赤ちゃんに必要な栄養はすべて含まれています。

 お母さんが風邪をひいた、薬を飲むから、などのことで母乳を止める必要はありません。多くの薬は、母乳中にごくわずかに分泌されることがあっても、赤ちゃんへの影響はまずありません。お母さんが受診する際には、授乳中であることを伝えてください。

 また、赤ちゃんが授乳のたびによく吐く、と言って外来を訪れるお母さんがいます。大抵は病的なものではなく、母乳の飲みすぎや、授乳時間が長くて空気をたくさん飲み込んでしまい、ゲップと共に吐いている場合がほとんどです。体重の増え方も、急な増加傾向のことがあります。泣く=おっぱいではありません。よく出るおっぱいなら5~10分、両方あげて15分で充分なのです。赤ちゃんの機嫌が良く、元気なら大丈夫!それでも心配だと思うときは、母子手帳や育児日誌などを持参しご相談ください。

お知らせ

1.靴の履き間違いにご注意ください

 最近、靴の履き間違いが多くなっています。お帰りの際には、置き場所・名前・サイズなど、十分ご確認ください。

2.小田原市「子どもの発達・育児の相談」窓口開設

 0歳〜就学前のお子さん(小田原市在住)の、ちょっとした育児の悩みから、発達、集団行動ができない、専門的な療育が必要?など、相談できる窓口が開設されました。臨床心理士・保健師・保育の専門家による相談が受けられます。

対象年齢:0歳〜就学前

受付時間:月曜日〜金曜日(9:00〜17:00)

場所:小田原市役所2階13A窓口
      ※電話でも相談できます。電話33−1466(直通)
 なお、臨床心理士の相談は毎週火曜日(予約制)です。

編集後記

梅雨の晴れ間、空は夏色を帯びてきました。ただでさえ暑い夏。来月には、外来小児科学会があるため、医院も白熱してきています。今年はより暑くなりそうです。そして、9月にはインフルエンザワクチンの予約が始まります。更に、不活化ポリオワクチンの接種も始まります。このワクチンについては、来月号にてお知らせいたしますので、もう少しお待ち下さい。それから、ご報告が遅くなりましたが、先月看護師の氏家さんが退職されました(ご家族の為にがんばってください)。残りのスタッフでフォローしつつ・・・看護師さん募集!

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