横田小児科医院

院内報

こあら通信 第114号 2007 October

目次

・古い手紙
・ジオくんのお薬教室<ぜんそくの薬>
・ヨコピーの子育て知恵袋
・おすすめ絵本
・おしらせ
・編集後記
・こあらの絵

古い手紙

 ようやく秋の気配が見えてきました。朝夕の犬の散歩も気持 ちよくできます。懸案だった大きな原稿を書き上げ、気分転換 のため9月の連休に荒れ放題だった机の周りを大掃除しまし た。大事に取っておいても見直すこともなく、やはり捨てようと 思うものが多い中で、残しておいてよかったものがあります。その一つが患者さんからの手紙です。

 東京で勤務医をしていたころのものですが、懐かしく患者さ んのことを思い出します。入院も診ていましたので、今以上に 患者さんとの結びつきは深かったかもしれません。すっかり病気が治って元気になったというお礼の手紙は嬉しいものです。 最近では治って当たり前という風潮が強く、若い医師は昔ほど感謝されないのではないかと、ちょっと可哀想に思ったりもしま す。

 治らない病気でも、定期的に状態を知らせてくれる患者さんもいて、今でも年に1-2回は手紙をくださる方もいます。ある程度の障害を持ちながら、前向きに生活している様子を伝えていただけるのは、これもまたたいへん嬉しいものです。

 もっとも心に残るのは、亡くなった患者さんのお母様からいただいた手紙です。重い心臓の病気を持ちながら頑張っていたのに突然亡くなった患者さん、白血病で治療を続けていたのに力尽きた患者さんなどのご家族からいただいた手紙は格別です。最期のようすが綿々と書かれていて、お母様の気持ちが伝わってきます。

 私たち小児科医も、難治の病気には手も足も出ないというのが実情です。そこでは「どう治したか」ではなく、「どう関わったか」が問われています。治せなくても、小児科医として何ができるのかを考えざるをえません。しかし、これは難しい病気の患者さんに限ったことではなく、毎日の外来で出会う患者さん方でも同じなのです。

 何かの縁で出会った患者さん方とどのように関わることができ、どうすればお互いに心に残るような関係を作ることができるのかを、もう一度考えてみることも必要だと、昔の手紙を読み返しながら思いました。
ジオくんのお薬教室<ぜんそくの薬-3>

 9月も暑かったですね。みなさんは元気でしたか?今回も喘息に使われるお薬の説明の続きで、「フルタイド」、「パルミコート」などの吸入ステロイド薬についてお話しします。

 「吸入ステロイド剤」は気管支喘息の予防に使われるお薬です。喘息には、抗アレルギー、抗炎症作用と発作を抑える作用のあるステロイド剤が最も効果的です。内服では量が多く、繰り返し長期間使うことによって副作用が出る事もあり、扱いにくかったのですが、吸入剤の登場によって、少量を吸収させることで安全でかつ極めて効果的なことがわかり、今では全世界で喘息の予防薬にすすめられる様になりました。

 タイプとしては、自分の吸気力によって薬剤を吸入する「ドライパウダー吸入器」(DPI)と加圧ガスによって吸入するエアゾール式の「定量噴霧式吸入器」(MDI)、それから、ネブライザーによる吸入方式があります。

 ドライパウダーの吸入薬は、薬剤を吸い込むときにタイミングを合わせる必要がありません。一方、エアゾール式の吸入器(MDI)は、上手に粉末を吸い込めない乳幼児やお年寄りでも、補助器具を使用すれば楽に吸入することができます。

 ドライパウダー吸入器(DPI)は簡単に吸入できます。一方、定量噴霧式吸入器(MDI)では、ボンベを押して噴霧するタイミングと吸い込むタイミングをあわせる必要があるので、ある程度のコツが必要です。ただし、タイミングが取れないお年寄りや乳幼児でも、吸入補助器具を使用すれば、ゆっくり普通の呼吸に合わせて吸入でき、吸入効率が向上します。ネブライザーによる吸入では、霧状にした少量の薬を自然呼吸によって吸入できるので、赤ちゃんや小さなお子さんの治療に適しています。

 吸入によって口の中に残った薬剤は、水でうがいをして流します。こうすれば、吸入ステロイド薬にみられる口腔カンジタ症などの副作用を防ぐことができます。お水を飲むだけでも大丈夫です。

 頑張って吸入を続けて、元気に遊ぼうね!次回も喘息の薬についてお話します。では、涼しくなったし、これから散歩に行ってきますワン!

ヨコピーの子育て知恵袋
<こむらがえり>

 準備運動もせずに、いきなりプールに飛び込んで泳ごうとしたり、夜中睡眠中に足の筋肉に激痛の伴ったひきつりを経験したことがあると思います。このような発作を「こむらがえり」といいます。甲状腺機能低下症などの内分泌疾患や糖尿病のような先天性代謝異常に伴うこともありますが極めてまれなケースで、われわれが日常出会う「こむらがえり」の大部分は、健康な人に起こるものです。

 ある筋肉を急に強く収縮させるような運動をしたとき、例えば水泳のときに足の筋肉がつったり、重いものを持ち上げようとして腕や背中の筋肉がつったりすることは、よく経験することだと思います。筋肉の使いすぎや疲労が関係あるようですが、とくに治療が行われることはありません。ひきつっている筋肉を静かにひきのばしておくと数分間で発作は治ってしまいます。

おすすめの絵本(おはなしたんぽぽ)
「中国の昔話 王さまと九人の兄弟」

君島久子 訳 赤羽末吉 絵 岩波書店

 腰の曲がったおばあさんが神様からもらった丸薬を飲んでしまったため、一度に九人の赤ん坊が生まれてきます。九人兄弟は顔も体もそっくりでした。宮殿の王様が次々に命令を出しますが、その都度、一人ずつ出て行って難なく切り抜けていきます。

 九人の活躍は、こうであればいいなあという願望でもあります。胸のすっとするようなお話です。

おしらせ

 今月から、新患でかかられる方には、自動予約のカードと診察券を統一し、プラスチックのカードのみをお渡しいたします。カードには7桁の数字(5桁の数字の後に2桁の数字)が印刷してありますが、左側5桁の数字が、登録番号に、7桁が自動予約の番号になります。「登録番号」を訪ねられたときは、左側5桁の数字をお答え下さい(7桁すべてを連絡いただいても結構です)。

 すでに、かかられている方は、引き続き紙の診察券とプラスチックの自動予約カードをお持ち下さい。お問い合わせの場合は紙の診察券に記載してある登録番号をご連絡下さい。

編集後記

長かった夏もようやく終わり、秋がやってきました。横田小児科でも、制服が替りスポーツの秋にふさわしいラガーシャツになりました。10月からはインフルエンザ予防接種も始まり、病気になる方も増えてきて忙しくなってきます。混む時期の診察がスムースに進むよう努力しますので皆様のご協力をお願いいたします。

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〒250-0051
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FAX 0465-35-0756
自動予約専用電話 0465-35-0677

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